中心窩の網膜に穴(孔)があいてしまう病気です。穴自体は直径0.5ミリメートルに満たないとても小さなものですが、最も視力が鋭敏な部分にできるため、大きな影響が現れます。完全な穴が形成されてしまうと、視力(近視などは矯正した状態で)は0.1前後になってしまいます。
この病気は硝子体の収縮が関係して起きるので、後部硝子体剥離が起こる60代をピークに、その前後の年齢層の人に多発します。とくに、硝子体の液化が進みやすい近視の人や女性に多い傾向があります。
なぜ、よりによって一番大事な中心窩に穴があくのでしょう。以前はその理由がよくわかりませんでしたが、検査機器が発達したことで、円孔ができるメカニズムが詳しくわかってきました。
ステージ1
加齢によって硝子体が収縮するときに、硝子体の皮質と網膜の癒着が強すぎると後部硝子体剥離が起こらず、網膜が硝子体皮質に牽引されます。これにより、本来は少し凹んでいるはずの中心窩の網膜が、平坦になったり前方に浮き上がったりします。
浮き上がった網膜の内部には、袋のような空洞(嚢胞のうほうといいます)が形成されます。この状態がステージ1で、視力はまだ0.5程度はあり、ふだんは両眼で見ているので気付かないこともあります。
ステージ2
網膜がさらに牽引され、嚢胞の縁の一部が破れて弁のようになって、剥がれかかった状態です。視力が低下し、物が歪ゆがんで見えたりもします。
ステージ3
弁のようになっていた嚢胞上部の網膜が蓋ふたとなって完全に分離し、円孔が完成したばかりの状態がステージ3です。円孔周囲の網膜は、硝子体皮質に牽引されていたときの名残をとどめて、少し浮き上がったままになっています。
この状態では中心暗点といって、視野の真ん中だけが見えなくなります。物がつぶれて見える、テレビを見ると人の顔だけが見えない、などがよく聞かれる訴えです。
ステージ4
ステージ3から数カ月~数年たつと、硝子体はさらに収縮します。分離した蓋は硝子体皮質に付着したまま眼球内の前方に移動してしまっています。
黄斑円孔は、少し前までは治療法がありませんでした。しかし今では手術によって、視力を取り戻せるようになっています。
手術の方法
まず後部の硝子体を切除します。硝子体はそれほど重要な役目がある組織ではないので、切除しても視覚に直接的な影響はありません。
次に、網膜の最も内側(硝子体に近い側)にあたる内境界膜という薄い膜を剥がします。少し難しい操作ですが、こうすることで術後の再発を減らせます。最後に眼球内部にガスを注入し、手術は終わりです。
術後は円孔周囲の網膜がガスで抑えつけられている間、円孔が小さくなっています。すると、円孔中心に残っているわずかな隙間にグリア細胞という、周囲の細胞をつなぎ合わせる働きをする細胞が現れ、円孔を完全に塞いでくれます。
ただし、ガスは気体ですから、つねに眼球の上に移動してしまいます。ですから術後しばらくは、ガスが円孔部分からずれないように、うつ伏せの姿勢を保つ必要があります。これを守らないと、再手術が必要になる確率が高くなります。
手術の合併症
注意が必要なのは、網膜裂孔と網膜剥離です。眼球の前方に残してあった硝子体(前方の硝子体は網膜と強く癒着しているため切除できません)が収縮し、網膜を引きちぎるような力が加わるために、網膜裂孔・剥離が生じます。術後数カ月以内に約3パーセントの人に起こります。裂孔や剥離は、視野が欠けたり視力が著しく低下する原因となる、治療の緊急性が高い病気です。ですから術後は定期的に検査を受けるとともに、見え方の変化に気をつけて、異常を感じたらすぐに受診してください。
手術の合併症で一番多いのは白内障です。60歳以上の患者さんなら1年以内に100パーセント近く起こります。このため多くの場合、黄斑円孔の手術と同時に白内障の手術もしてしまいます。
再発の確率
手術中に内境界膜を剥がすのが標準的治療法になって以降、ほとんど再発はなくなりました。
なお、患者さんの約1割は、他眼(健康なほうの眼)にも発病します。ただし、その眼がすでに後部硝子体剥離が起きていれば、網膜が牽引される原因がないので、発病する確率はずっと低くなります。
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