白内障

白内障

● 白内障とは

白内障とは、瞳の奥にある水晶体(眼の中では、ピントを合わせるレンズの役目をする部分)が濁る病気です。
症状は、雲がかかったようにかすんだり、眩しくなったり、だぶって見えたりします。
一度濁ってしまった水晶体は目薬や飲み薬では元に戻せません。放置すると視力低下が進行します。白内障に用いられる薬はありますが、進行を抑制する目的で用いられているもので、視力を元に戻す効果はありません。視力を回復させるためには手術が必要です。

● 白内障の頻度は

白内障の中で最も多いのは加齢白内障といいます。
特別な原因がなくても年齢とともに誰にでも起こります。本邦における初期混濁も含めた水晶体混濁有所見率は50歳代で37~54%、60歳代で66~83%、70歳代で84~97%、80歳以上では100%、日本白内障疫学研究班分類で程度2以上の進行した水晶体混濁の有所見率は50歳代で10~13%、60歳代で26~33%、70歳代で51~60%、80歳以上では67~83% と報告されています。(白内障学会ガイドラインより)

この中で手術を必要とするほど視力が低下する割合は、65~74歳ではほぼ5人に1人、75歳以上では2人に1人といわれています。
片方の眼に起こるといずれもう片方の眼も白内障になる可能性が高くなります。両方の眼が同時に白内障になる場合もあります。

● 白内障を症状から診断すると

かすんで見える

白内障の一般的な症状は「雲がかかったようにかすんで、物がはっきり見えない」というものです。頻度が最も多い皮質白内障というタイプでは周りから瞳の中に向かってまだらに濁ってきます。その為、濁りのすき間から見ている状態になり、「何となく見えにくい」「ピントがあいにくい」という症状からはじまります。白内障が進行すると水晶体全体に濁りが及んできて徐々に視力も低下し、最後は明暗のみがわかる程度にまで見えなくなります(成熟白内障)。

まぶしくなる

水晶体の濁りが瞳の中にかかると、外からの光がその部分でいろいろな方向に散ってしまいます。その為、光の強い屋外や逆光では、まぶしさが増しサングラスや日差しよけの帽子が手離せなくなります。特に夜間の運転では対向車のヘッドライトがハレーションを起こして見えなくなり危険を伴うこともあります。特に後嚢下白内障というタイプでは日中にはまぶしさで見にくく、曇りや雨の日、室内では見えやすくなるという特徴があります。

近くが見やすくなる

水晶体の真ん中が濁る核白内障では、近視の傾向が 少し出てきて、眼鏡なしでも近くが見えるようになり、老眼が治ったように感じることもあります。これも白内障の進行に伴ってしばらくするとかすむ症状が強くなってきます。

二重、三重に見える

核白内障のもう一つの症状に、「月がいくつにも見える」というように物が2つにも3つにも見えるようになることがあります。この場合、白内障のある片眼だけで見た時に、だぶって見えるのが特徴です。

眼の痛みや充血はない

水晶体には神経や血管がないため、白内障だけでは痛みや充血はありません。

● 白内障手術

手術は、水晶体を取り囲む外側の透明な袋(水晶体嚢)を残して、中の濁りを超音波で砕いて取り除き、代わりに人工の眼内レンズを残してある水晶体嚢の中に挿入します。基本的に点眼麻酔で施行します。痛みはほとんどありません。
傷口は約2mm以下であり、術後もほとんど目立つことはありません。
手術時間は5分程度で、手術室滞在時間は約10分ほどです。

以前の白内障手術は、水晶体全体を取り出す手術でしたので、角膜を大きく切り開く必要がありました。
術後も厚い凸レンズのメガネによる遠視矯正が必要でした。
しかし、超音波で水晶体を砕く方法が開発され、眼内レンズが改良されて、切開創は年々小さくなってきました。
1980年代には11ミリ切開していたのが、90年代は6ミリ、2000年代に入ると4ミリになり、今ではわずか2ミリの切開で行うこともあります。切開創を小さくできるようになったため、手術による眼球の負担が減り、安全性も高まり、術後に角膜がゆがんで乱視になる頻度や程度も低下しました。
眼内レンズも最近は、まぶしさをやわらげる色つきレンズや、多焦点レンズも選べるようになっています。

● 多焦点眼内レンズについて

通常の保険適用のレンズ(単焦点眼内レンズ)はピントが合う距離が1点なので、遠くあるいは近くのいずれかを選択します。
遠くにピントを合わせると、近くを見る際に老眼鏡が必要となります。
近くにピントを合わせると、遠くを見る際に遠用眼鏡が必要となります。
多焦点眼内レンズは、ピントの合う距離が複数あることから眼鏡の煩わしさを軽減することが可能です。
若い頃のように、すべての距離がメガネなしでハッキリとまではいきませんが、遠くの景色や読書などは裸眼で出来るようになります。
細かい作業や、レンズで補えない距離等は眼鏡を併用する必要はあります。

多焦点レンズのメリット

・眼鏡に依存しない生活ができる。
・眼鏡の煩わしさを軽減できる。

多焦点レンズのデメリット

・単焦点と比較すると遠近それぞれの見え方のスッキリ感が少し弱い。
・眩しさを感じやすい(ハロー・グレア)

当院では、各レンズの強みを活かし、事前にライフスタイルを詳しくお伺いし、患者様のライフスタイルに合わせたレンズの種類を選定、ご提案させて頂きます。

多焦点レンズの費用

費用はレンズの種類により異なります。

多焦点レンズを用いた選定療養

使用する眼内レンズ:選定療養対象の多焦点眼内レンズ
白内障手術技術料は通常の保険診療で賄う。
多焦点眼内レンズ費用のみ自己負担となる。

選定療養対象レンズ
ZMB00/ZLB00/ZKB00(AMO社)
2焦点眼内レンズ(遠方・近方)
遠方と近方にピントが合うように設計されています。
近方のピントは30cm、40cm、50cmに合う3種類があり、ライフスタイルによって使用するレンズを選択出来ますが、乱視がある方には不向きのレンズです。レンズの特性上、ハローグレアが出やすいため夜間の運転には注意が必要です。
健康保険一部負担金+片眼8万円

IQ PanOptix(パンオプティクス)/IQ PanOptix Toric(Alcon社)
乱視矯正ができる3焦点眼内レンズ(遠方・中間・近方)
国内初承認を受けた三焦点眼内レンズで、2焦点眼内レンズを改良し、遠方、中間(60cm)、近方(40cm)にピントが合う構造になっています。中間距離にも焦点が合うため、パソコンの画面や、料理の手元、カーナビなどが2焦点に比べ見やすくなりました。手元や遠くの見えかたは2焦点レンズと同等です。
可能な限り若い頃の様な自然な見え方を追求したい方にお勧めです。
健康保険一部負担金+片眼21万円(乱視用は25万円)

プレミアム多焦点レンズを用いた自由診療
使用する眼内レンズ:選定療養対象外のプレミアム多焦点眼内レンズ
白内障手術を含め、全て自己負担となる。

LENTIS MplusX(レンティスエムプラスエックス)/LENTIS MplusX Toric(Oculentis社)
乱視矯正ができる完全オーダーメイドの2焦点眼内レンズ(遠方・近方)
他のレンズでは作れない強度の近視や乱視にも対応可能です。
他のレンズより細かい精度で作製するため、世界最高性能のプレミアムな多焦点眼内レンズとして世界的に高い評価を得ています。
両眼手術代+1か月診療代:99万円(税込)乱視用は+11万円
1か月以降の診療は保険診療へ切り替わります。

Acriva Trinova(トリノバ)/Acriva Trinova Toric(VSY Biotechnology社)
乱視矯正ができる3焦点眼内レンズ(遠方/中間/近方)
多焦点のデザインは累進焦点拡張型レンズである。
近方はやや劣るが、遠方・中間のバランスが良いレンズです。
色彩豊かで、コントラスト感度がほどほど良く満足度が高い。
他のレンズに比べ夜間のハロー・グレアが少ないといわれている。
両眼手術代+1か月診療代:119万2千円(税込)乱視用は+11万円
1か月以降の診療は保険診療へ切り替わります。

Intensity(インテンシティー)/Intensity Lens(Hanita Lensens社)
世界初の5焦点眼内レンズ(遠方/遠中/中間/近中/近方)
これまでの2焦点や3焦点眼内レンズより、全ての距離(遠距離~40㎝)において視力の落ち込みもなく日常生活におけるほとんどの活動をカバーします。
光効率の最適化によって、光エネルギーのロスが他の眼内レンズと比較しても少なく、効率よく眼内に光を取り入れることができるようになり、さらに瞳孔径に応じて最適配分されることで、ハロー・グレアの影響を抑えることができます。 明るい場所でも暗い場所でもよりスムーズな見え方が可能で、夜間時の車の運転や外出時など日常の快適性と安全性アップが期待できます。
両眼手術代+1か月診療代:109万2千円(税込)
1か月以降の診療は保険診療へ切り替わります。

AddOn(アドオン)/AddOn toric(1stQ GmbH)
眼内レンズが挿入された眼に2枚目の眼内レンズを以下挿入する方法であり、白内障手術後に残った近視、遠視、乱視を少なくしたい方、あるいは単焦点眼内レンズが入っているが、多焦点眼内レンズに入れ替えたい方に有用です。
屈曲矯正術後の白内障では座視のずれが生じやすく、その場合にも使用することがあります。
両眼手術代+1か月診療代:25万4千円(税込)乱視用は+10万2千円
1か月以降の診療は保険診療へ切り替わります。

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