糖尿病合併症

● 糖尿病合併症とは

糖尿病は合併症(余病)が怖い病気で、合併症はとくに腎臓や神経、そして眼に現れることが多く、これらは三大合併症といわれます。眼の合併症は、糖尿病と診断されたときから定期的な眼科の検査を受け、糖尿病と眼科の適切な治療を続けていれば、確実に防げます。しかし、実際には糖尿病を放置している人が少なくなく、毎年3,000人以上の方が、糖尿病の合併症で視力を失い、成人の失明原因の上位となっています。

網膜が冒されてきます
眼の奥の方には網膜という組織があり、網膜症とは、なんらかの理由でこの網膜が痛められ、カメラでいうと、フィルムの感度が低くなったり、フィルム自体が破損してしまった状態になる病気のことです。糖尿病の患者さんの約40パーセントに、網膜症が起きているといわれています。
なぜ糖尿病で網膜症になるのでしょう。それは、網膜には細かい血管が全体に張りめぐらされていることと、糖尿病が血糖値の高い状態が続く病気だということに関係しています。血糖値が高い状態では血管に多くの負担がかかり、血液の流れが悪くなってきます。細かい血管が密集している網膜は、 高血糖の影響を非常に受けやすいくなっています。

● 症状がないまま進行する糖尿病網膜症

単純網膜症
網膜内の血流が悪くなり始めた、網膜症の最初の段階です。

症状 全くありません。
検査 2~6ヶ月ごとに精密眼底検査を受けます。必要なら蛍光眼底撮影も。
治療 糖尿病の治療(血液コントロールの改善)と網膜循環改善薬などの内服薬の服用で進行を防ぎます。
初期の単純網膜症なら血糖コントロールの改善で軽快することもあります。

増殖前網膜症
血管が詰まって、網膜の一部に血液が流れていない虚血(きょけつ)部分が生じてきた段階で、そのまま放置すれば次の増殖網膜症に進行します。

症状 ほとんどないですが、黄斑部に浮腫が起こると著明な視力低下がおきます。
検査 2ヶ月ごとに精密眼底検査や必要に応じて蛍光眼底撮影などの眼科検査。
治療 血糖コントロールの改善とともに、虚血部分の網膜にレーザー光凝固を行い(局所凝固)、増殖網膜症への進行を阻止します。
黄斑浮腫に対しては、レーザー光凝固や硝子体手術を行います。

増殖網膜症
虚血部分に酸素や栄養をなんとか送り込もうと、新生血管が伸びてくる段階です。新生血管の発生は、一見理にかなっているように思えます。しかしこの血管は、大変もろく出血しやすい血管で、新生血管が破れて網膜の表面や眼球内(厳密には硝子体内) に出血が広がると、視力に大きな影響を及ぼします。

症状 視力の低下や飛蚊症。ただし、硝子体出血や網膜剥離が起きていなければ、この段階でも症状がないこともあります。
検査 2週~1ヶ月ごとの眼科検査。必要があれば超音波検査をします。
治療 黄斑部を除く網膜全体に光凝固を行います(汎網膜凝固)。硝子体出血や網膜剥離が起きてしまった場合は、硝子体手術などで視力の回復をめざします。

● 糖尿病網膜症といわれたら

このように、網膜症は徐々に進行しますが、注意しなければいけないのは、かなり進行しても、視力の低下などの自覚症状がほとんどないということです。そして、糖尿病そのものも自覚症状の少ない病気です。だからといって糖尿病を放置していると、ある日突然、目が見えなくなった、目の前が真っ暗になったとあわてて病院に駆け込み、硝子体出血や網膜剥離と診断されることもあります。糖尿病と診断されたら、適切な治療を続けていくようにしましょう。そして、定期的に眼科検査を受けることも忘れないでください。
検査、治療を続けていれば、糖尿病が原因で失明することは、必ず防げるのですから。

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